本を買った理由を書いて行くブログ

読書が好きだけど感想や書評を書くのはちょっとしんどいし続かない、と言うずぼらな性格の愛書家が、「なぜこの本を買いたくなったのか」という理由だけを淡々と綴るブログ。たまに雑記も。

【感想】『天子蒙塵』 浅田次郎

★☆☆

んー、これは困りました。

いや、面白かったんですよ。間違いなく素晴らしい。
まだ今回のシリーズ的には導入編なのでしょうけれど、〈ラストエンペラー〉をそこから描くか、と言う視点はさすがですね。
皇帝そのものではなく、前代未聞の「皇帝との離婚」を女性の視点から描くことによって、神にも近い存在である皇帝を一人の人間として男性として見せる。さすがです。

思えば『蒼穹の昴』でも、西太后を宦官の視点から見事に悲劇の女性として描き出しましたし、『珍妃の井戸』は言わずもがな。

浅田さんのこの中国シリーズは、中華皇帝と言う神にも等しい絶対者を中心としながら、女性の物語なのですね。

相変わらず美しい日本語が織り成す文章は読むだけで心地よい気分に浸れますし、そういう意味では文句の付けようがないのですが、星は三つ。
これは、もう本当に個人的なことです。なので作品の評価として額面通りではないです。

『蒼穹の昴』に始まったこの中国シリーズは今作『天子蒙塵』で5作目。
西太后から珍妃、張作霖、張学良とメインキャストは移り変わって来たわけですが、歴史ものの宿命として、これまでの流れを知っておいた方がより楽しめるのは間違いなく。

ようは、「もう忘れちゃってるから読み返したい」と言うことです(笑)。

もちろん史実的な部分はだいたい覚えていると言うか知っているのですが、創作の部分はさすがにもうほとんど忘れてしまっていて。
そこが分かっていればもっと楽しめるのになあ、と思った箇所が多くあったので…と言う個人的な残念感からの星三つです。

book-aok.hatenablog.com

 

『スリーピング・ドール』 ジェフリー・ディーヴァー

大好きなリンカーン・ライム〉シリーズからのスピンアウト作品ということで、いつかは読もうと思っていた、「人間噓発見器」〈キャサリンダンス〉シリーズの一作目です。

もうだいぶ前から買うことは決めていて、いつ買うかだけだったのですが、えてしてそういうのって書店に行くと忘れていることが多く、ずるずると買い損ねて来ていたのです。今日書店でたまたまシリーズの最新作を見つけたので、思い出して買いました。
まだこちらのシリーズは3作品しか出ていないはずなので、早く最新作まで追いつきたいと思います。
もちろん、続きを買うかどうかは面白ければという条件付きではありますが、まあ作者に限ってハズすことはほとんどないでしょうし、続けて買うのはほぼ既定路線かと。
さっそく読み始めていますが既に面白くて中断するのがもどかしい。
非常に楽しみです。

 

『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』 ピーター・トライアス、中原尚哉

これは設定勝ちでしょうねえ。

第二次世界大戦で日本が勝っていたらという、いわゆる歴史ifモノなのですが、通常の歴史ifモノはそのifの時代の続きを描くことが多いのに対して、この作品はそこからかなり後の話。と言うかSF。
つまり、日本が第二次世界大戦に勝ったというifを前提にして、そのまま未来になったらどうなっているか、というお話(のようです)。

表紙を見れば分かるように、どうやら二足歩行のロボットが出て来るようで、ここは日本人の傾向をよくわかってますよね。
非効率だろうが難易度が高くて無駄だろうが、それでも二足歩行の人型ロボットを追求する国、それがジャパン。

確かに日本が戦勝国になり、アメリカに制限されることなく軍備の開発を自由に続けていたとしたら、人型ロボットはもっと早く実用化されていたかもしれません。
この作者は外国人なのに日本人をよく分かっていらっしゃる(日本人と共著のようですが)。

とまあ、そんなアホらしい空想の物語のようなので、こんな中二病スレスレ設定のSFなんて気になるに決まっているじゃないですか。
買うしかないですよね。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

 
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

 

『ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者』 山浦玄嗣

これはもう純粋に面白そうだったからです。

裏表紙のあらすじや帯の「物語の背景」、推薦文など、どれを見ても面白そう。

蝦夷の物語は基本的に好みなので、高橋克彦さんのシリーズなんかも大好きなのですが、それとはまた一味違った雰囲気がありそうなので楽しみです。

 

ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 上

ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 上

 
ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 下

ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 下

 

 

『宇宙探偵マグナス・リドルフ』 ジャック・ヴァンス

これはもうタイトル勝ちでしょう。
だって「宇宙探偵」ですよ、「宇宙探偵」。
そんなんもう気になるに決まってるやん。

そう言えば僕の世代は子供時代に宇宙刑事にだいぶ影響されましたが、刑事がいるなら探偵がいたって良いはずで。
なんでもっと早くその存在を思いつかなかったのかむしろ不思議です。

まあ、海外の作家さんなので、ギャバンシャリバンも知ってるわけないでしょうから、当然ながらそのノリではないと思いますが、買った理由は間違いなくそこ。
「宇宙探偵」という4文字だけで買いました。
それ以外に理由はないです。

あと、まったく買った理由には関係ないですが、版元がすごいですね。
国書刊行会って。
僕も相当いろんな本を買ってる方だと思いますが、不勉強で知りませんでした。
調べてみたら結構ミステリとか出してるんですね。
ちょっと今後注目してみたいと思います。

あと、新年一発目の更新にしてはかなりの変化球から始めちゃったなという気はしていますw

宇宙探偵マグナス・リドルフ (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)

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宇宙刑事ギャバンBlu-ray BOX 1

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いい加減なご挨拶

あけましておめでとうございます

今年もゆるゆると、買った本を上げていくだけの軽いノリで続けて行きたいと思います。

あくまでもそれが主旨なので、感想の方はおまけで。

あと、誰も期待していないと思いますが、さだまさしの続きもそのうち上げるつもりですw

ちなみに今年はプライベートで大きな転機が既に予定されておりまして、それ次第では更新ができにくい状況になることも考えられます。

なるべくそうならないよう、とは言え変なプレッシャーにもならないよう、あくまでもゆるーくかるーく続けて行くつもりですので、よろしくお願いいたします。

ということで、2017年が良い年でありますよう。

【感想】『屋根をかける人』 門井慶喜

★☆☆

星を付けるのがちょっと難しいなあ…

と言うのも、序盤からの印象は良くなかったんですよ。
理由はとにかく展開が早過ぎて
なんか冒頭に登場した時の主人公のキャラが、数ページ後にはコロッと変わっていて、その理由らしきことは確かに文中にあるのだけれど、「え、それだけで?」みたいな。

それ以外でも、日本に来て、教員として働き出して、キリスト教を広める活動もして、んで解雇されて、建築家に転身して、ってところまでが一気に最初の章で展開するんですよ。早い早い。
まあ、ダラダラやるのが良いとは言わないのですけど、一人の人間の人生の一部を描くにしてはちょっとはしょり過ぎなんじゃないかなと言うのが正直な印象。
特に、この本の前に、時代的にも同じぐらいで、しかも日本に来た外国人と言う設定まで同じ、そしてかなり重厚にその生涯を描き切った『リーチ先生』を読んでいたもので、そのギャップがことさら激しく感じられてしまったのかもしれないです。

かなり終盤までそんな感じだったので、ハードカバーの割にはさくさく進むし、正直「ちょっと物足りないなあ」と思っていたのですが、最後がね、とても良かったんですよ。
作者自身が帯で、「このラストシーンを書くために時代小説家になった」とまで書いているほどなので、相当自信があったのだと思いますが、確かに素晴らしかったです。
主人公と昭和天皇陛下が会話をするこの数ページのためにこの物語はあったのだと。
ネタバレは良くないのであまり詳しくは書けませんが、特に、陛下の最初の一言と、それを受けた主人公の思いの部分は、日本人としてたいへん心に沁みます

入りの印象は良くなかったのですが、後味がとても良い本でした。

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