【感想】『天切り松闇がたり5 ライムライト』 浅田次郎
★★★★★
素晴らしいです。もはやそれしか言う言葉がありません。
個人的に最も好きな作家と言っても良い浅田次郎さんの、さらに最も好きなシリーズである『天切り松』。
毎度毎度本当に素晴らしい。
いくら好きな作家とは言え、読む前からこれだけ【期待】のハードルが上がりまくっているにも拘わらず、読み終えた後に期待以上に満足できるってとんでもないですよね。
このシリーズの何が良いって、出て来る人物がみなしびれるほどかっこいい。
描かれる所作のひとつひとつが、会話の一言一言が、もう切ないぐらいにかっこいいんですよ。
こんなにも粋でいなせでかっこいい人たちがぞろぞろ出て来て面白くないわけがないんですが、そのかっこよさを一人一人きっちり描き分けて、かつ飽きさせないその筆力。
僕はこのシリーズは文化財に指定するべきだと思いますし、浅田次郎は人間国宝にすべきだと思います。
冗談ではなく、古き時代の「江戸っ子」をこれだけ正しく愛おしく描ける人はおそらく他にはいないから。
ああ、今回もたっぷりしびれてたっぷり泣きました。
満足です。ご馳走様でした。