「日本人が知っておくべき、新・三大さだまさしの名アルバム(70年代編)」
【風見鶏】
さだまさしソロ2枚目のアルバムにして70年代最高の名盤。グレープの残滓からの脱却と、ソロアーティストさだまさしとしての軸が出来上がったとも言える記念碑的な一枚。
以降、さだのライブで長年歌われ続ける「つゆのあとさき」「飛梅」「きみのふるさと」「晩鐘」などの名曲が多数収録されており、一般的なヒット曲はないものの、ファンにとってはこのアルバムからさだまさしが始まったと言っても過言ではない名盤。
特にライブでの「飛梅」の壮大なスケール感と盛り上がりは絶品。ぜひライブ盤でも聴くことをお勧めしたい。

- アーティスト: さだまさし,渡辺俊幸,Jimmy Haskell
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/02/23
- メディア: CD
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【私花集(アンソロジィ)】
前作【風見鶏】で確立した、歌手さだまさしとしての方向性をさらに強め、より独自性を打ち出したアルバム。
曲としては「案山子」「秋桜」「主人公」という、さだファンに好きな曲アンケートを取れば軒並み上位に来るであろう名曲が収録されていることからも名盤であることは自明。
特に「秋桜」は前年に山口百恵に提供した楽曲のセルフカバーであり、世間一般的には百恵ちゃんの曲として認知されている名曲。嫁ぐ直前の娘から母への想いを綴った曲にもかかわらず、何故か男の友人の結婚式で頼まれて歌ったという個人的な思い出が脳裏を過る。
また「主人公」に関しては、中学校の卒業式において、自分が実行委員であったことをフル活用して権力を行使し、クラス全員が長淵剛の「乾杯」で送られることを望んでいたにもかかわらず、この「主人公」をBGMにチョイスして顰蹙を買った。
かように個人的な思い出の強いアルバムである。
ちなみに、ラジオ『さだまさしのセイ!ヤング』内で実施された【さだまさしカルトクイズ】において、「歌詩の中に、『イルカ』『タカ』『イカ』『カエル』のすべての動物が出て来る曲は何か」というクイズの答えが「案山子」。「案山子 歌詞」で検索を。

- アーティスト: さだまさし
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/02/23
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【夢供養】
個人的に好きな曲が多い、ということなら間違いなくこれ、という非常に私的な理由によるランクイン。
この辺りからさだは、フォークソングの枠に囚われることない曲風に意図的にチャレンジし始める。これまでも、「線香花火」や「飛梅」など、日本の情景を切り取った曲でその片鱗は見せていたが、このアルバム以降はその色が非常に強くなり、あたかも和風フォークとでも言えるような名曲を多く生み出していくことになる。
「風の篝火」「まほろば」「春告鳥」「空蝉」など、その端緒と思しき名曲が多数収録されている中、特に「まほろば」は以降のさだのライブでは欠かせない名曲であり、『まぼろしの邪馬台国』で知られる故・宮崎康平氏が、「聴き手がついて来なくなるからこれ以上難しい曲は書くな」と評したという逸話があるほど。実際、歌詩の中には「飛火野」「馬酔木」「懸想文」「平城山」など読みすら困難な単語が多く散りばめられており、古典文学作品を読んでいるかのような感覚を受ける名曲である(実際にモチーフになったのは和歌)。
以上、70年代に4枚しか出していないアルバムの内の3枚を紹介(笑)したところをもちまして、「日本国民が知っておくべき、新・三大さだまさしの名アルバム(70年代編)」とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。