本を買った理由を書いて行くブログ

読書が好きだけど感想や書評を書くのはちょっとしんどいし続かない、と言うずぼらな性格の愛書家が、「なぜこの本を買いたくなったのか」という理由だけを淡々と綴るブログ。たまに雑記も。

『出発点―1979~1996』 宮崎駿

近所の本屋になぜかドンと置いてあったのでつい手に取ってしまいましたが、かなり古い本なのですね、これ。
1996年初版らしいので、20年前。
なんでそんな本が町の小さな本屋に今さら平置きされていたのか謎ですが、さすがは世界のハヤオだけあってその存在感(厚さ)たるやw
手に取らざるを得ない雰囲気と、買わざるを得ないと思わせる何かがありました。
と言うことで、ほぼ迷うことなく買いましたよ。2800円もしたけどね…

ちなみに小説でもノンフィクションでもなく、インタビュー記事や寄稿文などをまとめたものです。

しかしとんでもない分厚さだな…。読めるのか、これ…?(汗)

出発点―1979~1996

出発点―1979~1996

 

 

【感想】『ハリー・クバート事件』 ジョエル・ディケール

★☆☆

帯で絶賛されているだけのことはあって、なかなか面白かったです。
ただ、そこまでどんでん返しが凄いと言うほどには感じなかったですが。
まあこれは僕がコアなミステリ慣れしてしまっているので期待値が高くなり過ぎているだけかもな、と。
いつものことですが、帯なんかの煽り文句をそのまま受け取るとほぼ間違いなくガッカリしますね。
そう言う意味では、かなり煽った文句が並んでいたにも拘わらず、そこまでのガッカリ感がなかっただけ、素晴らしい作品なのではないかと思います。

そもそもこの作者はミステリ作家ではないそうで、だから正直ミステリっぽくありません。
謎を追うと言う物語の構成上、ジャンルとしては「ミステリ」になってしまっているだけで、ミステリを意識して書かれたものではないのでしょうね。
それが良くも悪くも出ているのですが、個人的にはむしろ良い方に多めに傾いているかなと思いました。

ミステリマニアが、粗探しをしてやろうと手ぐすね引いて構えて読んだとしたら、正直もの足りなく感じるかもしれません。
しかし、そういう斜めなスタンスではなく、純粋に「物語」を楽しもうと思って読めば、とても上質なエンタメ小説だと思います。

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『書楼弔堂 炎昼』 京極夏彦

これはまあ簡単で、前作が良かったからです。
まあ前作が出てから既にけっこう経ってしまっているので、内容とかはもうほとんど忘れてしまっているのですが、「良かった」という印象だけは覚えていまして。

確か、「百鬼夜行シリーズ」に繋がるような人物が出て来そうな感じだったような(曖昧)。
前作以上に相当な分厚さのハードカバーですが、まあ京極さんなのでその辺は仕方ないです。
ノベルスですら凶器になりそうな厚さの本を書く人ですから、ハードカバーたるやもはや「読む=筋トレ」かなと言うぐらいの重さ。
なかなか読み始めるのに覚悟が要りそうですが、『リーチ先生』もあるし、あとまだ紹介書いてないけど同じくらいかこれ以上に分厚いのも買っちゃったし、どうやら年末年始にかけて筋トレの日々を迎えそうですね(笑)。

書楼弔堂 炎昼 (集英社文芸単行本)

書楼弔堂 炎昼 (集英社文芸単行本)

 

 

書楼弔堂 破暁

書楼弔堂 破暁

 

 

【感想】『太陽の棘』 原田マハ

良かったなあ…
胸に沁みました。

原田さんの得意分野である画家の話なんですが、絵の描写はそれほど出て来ないんですよ。
それでも沖縄の画家たちが描いた絵がどれほど素晴らしいものだったかは、なぜか目に浮かぶように分かる。

僕が一番好きなのは、主人公である沖縄に派遣されたアメリカ軍の軍医が、彼らの作品を故郷にいる家族に送ったところ、父親から「家の一番良い場所に飾って毎日見ているけど飽きない素晴らしい絵だ」と言う感想が手紙で届いたところ。
もうこの一文だけで、理屈抜きに「良い絵なんだ」ということが分かります。
絵のことに詳しくなくても、理解もできなくても、そういうことは関係なく、遠く離れた親子が通じ合うだけで、それは「良い絵」だと。
絵そのものの描写を細かくするよりも、よほど伝わるものがあると言うことを、原田さんはよくご存知ですね。

個人的な好みだけで言うと、最後にもう一度時代を戻してほしかったという気がしないでもないのですが、まあこれは好みの問題です。
絵画や芸術に興味がなくても大丈夫。安心してどなたにでもオススメできます。

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【感想】『聖の青春』 大崎善生

★☆

素晴らしかったです。
もちろん僕が将棋ファンであるという前提がありますので、そうでない方がどれぐらい楽しめるものかは分かりません。
小説ではなくノンフィクションルポですし。

でも、それでもこれは素晴らしいと言い切りたい。そんな本でした。
村山聖と言う人間がどれほど将棋と向き合って真摯に生きたか、と言うことが分かります。
そこには、「早逝の天才棋士」とか「東の羽生に対して西の村山」とか言うような大仰な呼称は必要なく、ただただ命のほとんどすべてを将棋に注ぎ込んで生きた一人の人間がいるのみです。

そう言う意味では、『将棋の子』で取り上げられていたような、プロにすらなれずに舞台を下ろされた多くの元奨励会員たちと同じ。
生き方と言う意味で、そこには何の違いもないのですね。
そしてこの本は、決して村山聖の天才性を謳うものではなく、彼の生きざまを伝えるものだから。

自分がこれまでは「天才性」への興味本位で彼を見ていたことがよく分かりました。
そこは重要ではないのですね。本当にそう思わされた一冊です。

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『軍靴のバルツァー 9巻』 中島三千恒

これは、Facebookか何かのSNSで繋がっていた知人が「面白い」と書いていたので興味を持って買い始めた、と言うのが最初です。
ただ、誰がそれを書いていたのかはもう記憶が曖昧で覚えていないのですが。

で、読んでみたら確かに面白い。
絵柄的にはあまり好みではなかったので、その誰かのポストがなかったら買っていなかったでしょうね。
ありがとう>誰か(笑)

マンガと言うストーリーを追う形式を取りながら、実は当時の戦争の戦術なんかを詳しく解説していると言う体裁で、僕はこう言うのが好きなんですよね。

専門書を読んでも難しくて分かりにくいことを、物語の流れの中で語ることによって分かりやすくする手法。

ちなみに、「マンガで学ぶ●●」とかとはまた別で。
あれは解説そのものを分かりやすくするためにマンガにしているもので、物語にはなっていないですからね。

京極夏彦さんの「百鬼夜行シリーズ」なんかと同じです。
あれも、ミステリと言う体裁を取ってそのストーリーを追わせつつ、実は妖怪の説明をしているわけで。
ミステリ好きがいつのまにか自然に妖怪に詳しくなってしまうと言う恐るべきサブリミナル効果を持っています(笑)。
僕は京極さんのおかげで妖怪という、日本人にとっては馴染みがあるのによく分からないモノのことを概念として分かるようになりましたし、そう言うのって大事ですよね。

このマンガも、こと19世紀ヨーロッパの戦争に関して言えば、世界史の参考書なんかよりもよほど勉強になると思います。
これを入り口にして、その時代の研究者になろうとする若者が出てもおかしくないぐらい。
僕も高校時代は世界史好きだったので、当時このマンガがあったら、この時代にはまっていたかもしれません。

軍靴のバルツァー 9 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 9 (BUNCH COMICS)

 

 

『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ

なんでも何も、ずっと買わなきゃって言ってましたからね。
もはや何故買ったかではなく、買ったことのご報告です(笑)。

短編集なので気安く読めると思いますし、また『リーチ先生』より先に読んじゃいそうだなあ(笑)

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

 

 

リーチ先生

リーチ先生