本を買った理由を書いて行くブログ

読書が好きだけど感想や書評を書くのはちょっとしんどいし続かない、と言うずぼらな性格の愛書家が、「なぜこの本を買いたくなったのか」という理由だけを淡々と綴るブログ。たまに雑記も。

【感想】『ミスター・メルセデス』 スティーヴン・キング

★☆

なるほど、これがスティーヴン・キング。さすがですね。
いろいろありますが、何よりもとにかく読ませる。その力量はすごいです。

正直に言うと、これを「ミステリ」と呼ぶことには、個人的にはちょっと違和感があります。
どちらかと言うと「クライムサスペンス」と言った方が良いような。
けっこう序盤から犯人は分かっていますし、何かトリックやどんでん返しがあるわけではなく、犯人の次の犯罪を阻止するために主人公が奔走する、と言う、いわゆる『ダ・ヴィンチ・コード』とかと同じ構成ですからね。
まあ、広義のミステリではあると思いますし、それがこの作品の面白さを阻害しているわけではないので、関係はないです。

分厚い2冊組みにもかかわらず、一気に読ませるその展開力はさすがの一言。
主人公と犯人と言う二人の視点が入れ替わりながら物語が進んで行くのですが、もう片方が気になるように見事に構成されているものですから、途中で止めようがないんですよね。ほんと困るw
クライマックスまでまったく弛緩しない一級のエンターテインメントだと思います。

ただひとつ、個人的にあの終わり方(解決方法)はちょっと気持ちよくなかった。
ネタバレになるので具体的には書けないんですが、あれは何と言うか、ちょっと作品全体の空気にそぐわない解決方法だった気がします。
「え? そんなことして大丈夫なの?」と、ちょっと納得いかないこともありましたし。
もっと鮮やかな知的解決方法を採ってほしかったなー、と思いますが、まあ個人的な好みかもしれないです。

いずれにせよ、とても面白いエンタメ作品でした。
すでに同じ主人公(とその仲間のチーム)で3部作が刊行されているらしいので、日本で発売されるのが楽しみです。

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