本を買った理由を書いて行くブログ

読書が好きだけど感想や書評を書くのはちょっとしんどいし続かない、と言うずぼらな性格の愛書家が、「なぜこの本を買いたくなったのか」という理由だけを淡々と綴るブログ。たまに雑記も。

【感想】『烏は主を選ばない』 阿部智里

なるほどね。そういう構成ね。それでそう言うことがあったのね。

前作『烏に単は似合わない』を読んでいたなら(と言うかほとんどの人が読んでいるはずだけど)、このような感想を抱くはず。
つまりこの作品は、『烏に単は似合わない』と対の構成になっていて、【姫たちの視点】で物語が展開した前作に対し、【王子の付き人の視点】で同じ時間軸を描いた形。

それにしてもほんと上手いなあ…。
何がすごいって、こちらを読んで初めて、「なるほど、そうか」と分かる部分がたくさんあったにも拘わらず、前作の読後感として物足りなさや消化不良さがまったくなかったところ。
つまり前作は前作できっちりと成立し、完成し、しかも素晴らしいどんでん返しまで盛り込んで満足感ばっちりだったのに、さらに裏側が用意されていて、しかもそれがまたとんでもなく面白いと言う離れ業。
だいたいこういう二重構造の作品構成にすると、どちらか一方にもう片方を意識したような部分が見透かせてしまって、単体で完成形になっていない不満感みたいなのが残るものなのですが、そういうのが一切ナシ。ほんとにまったく皆無。
若いのになんと構成上手なことか…

ちなみに文庫版の解説を書いていらっしゃる大矢博子さんは、僕がインターネットをやり始めた頃(もう20年以上前か…)から大好きな書評サイト(兼爆笑日記サイト)を運営されてらした方で、その批評内容(と笑わせる文章力)には断然の信頼を置いています。
そんな大矢さんをして、『十二国記』『獣の奏者』と並べて絶賛させるのですからもうね。
個人的には『十二国記』よりも既に面白いと思います。(『獣の奏者』は未読なので)

実はもう次の『黄金の烏』も読み終わっているので、近々感想書きますが、結局似たような賞賛の文章になりそうなので、間にちょっと挟んでからにします(笑)。

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