【感想】『ポーラー・スター』 海堂尊
★★☆☆☆
なるほど、こうなりましたか、と言う感じ。
決して悪くはないんですよ。掛け値なしに面白い!とまでは言えないけど、充分に楽しめる。
でも、何か物足りない感じ。
何だろうな、と思って考えてみたのですが、たぶん、キャラの濃さなのかなあ、と思います。
小説とは言え実在の人物を扱った伝記的なものなので、当然ながら登場人物も皆実在の人たち。
となると、どうしても事実に基づいたキャラ設定をしないといけなくなるので、みんなおとなしい感じに。
完全に空想で作り上げられる物語小説であれば、「そんなヤツいないだろ」と言うようなキャラを好きなように出せるのですが、それが出来なくて、結果なんとなくこじんまりしてしまったような…
特に海堂作品には、白鳥を筆頭に「そんなヤツいねえよw」的なモンスターキャラがざくざく出て来るのが常なので、さすがにそれと比べてしまうと、いかに破天荒な革命家のチェ・ゲバラとは言え、キャラの立ち方で見劣りしてしまうわけで。
いつもの海堂節で進む分、その辺がなんか物足りないイメージになっちゃったのかもなあ…
正直に言ってちょっと残念。
でも4部作ですし、ゲバラの人生を考えれば今作は4つ中でも一番穏やかな内容だと思うので、次からの激しい展開に期待しようと思います。